フランジフェイサーとは?フランジ面加工の現地施工と機種の選び方

配管フランジの合わせ面が腐食した。蒸気やガスがフランジ部から漏れている。新設のフランジ面に平面度が出ていない。こうした場合、フランジそのものを交換せずに面だけを削り直せれば、工事の手間とコストを抑えられます。それを可能にするのがフランジフェイサーです。本記事では、フランジフェイサーとは何か、現地施工が必要になる場面と機種選定の判断基準を整理します。

目次

フランジフェイサーとは|フランジ面加工の現地施工

フランジフェイサーとは、配管や機器のフランジ(接続部の円盤状のつば)に取り付け、その場でフランジ面を平らに削り直す機械です。フランジ面加工機とも呼ばれます。フランジをボルトで締結する配管継手は、面に腐食・傷・平面度不良があると、ガスケットが均一に圧着されず漏れの原因になります。

本来であればフランジごと交換するか、配管を切り離して工場で面加工をやり直すところですが、現地で稼働中のプラント配管は簡単に切り離せません。フランジフェイサーを使えば、配管を据え付けたまま、その場でフランジ面を削り直せます。

現地施工が必要になる場面

フランジ面の腐食・漏れの補修

経年使用で錆や腐食が進んだフランジ面は、ガスケットとの密着が悪くなり漏れにつながります。面を薄く削り直すことで、フランジを交換せずに密着性を回復できます。

新設配管の平面度不良への対応

溶接時の熱歪みなどで、新設のフランジ面に平面度不良が出ることがあります。据付け後に不良が見つかっても、配管を外して工場に戻さず、現地で面出しできます。

プラントの定期修繕でダウンタイムを短縮したい

化学プラントや発電所の定修では、限られた停止期間内に複数のフランジ補修を終える必要があります。配管を分解せずに加工できれば、運搬・再据付けの時間を削減できます。

フランジフェイサーの仕組みと構造

フランジフェイサーは、フランジに機械本体を固定し、フランジの中心を軸にバイト(刃物)を回転させながら面上を送ることで、フランジ面を薄く削り出します。ポータブル中ぐり機と同様、機械の方をワークに合わせて取り付ける発想です。

機械をフランジに固定する方式には、フランジの外周を掴む方式と、フランジの内側(配管の穴)を掴む方式があります。どちらも、切削時の反力を受け止めながら機械を安定させる役割を担います。

フランジフェイサーのクランプ方式の違い。外径クランプ式はフランジの外周をクランプし、内径クランプ式はフランジの内側(穴)をクランプする模式図
図1:外径クランプ式と内径クランプ式の違い

機種選定の判断基準

フランジフェイサーを選ぶ際は、次の4点を組み合わせて判断します。

判断項目見るべきポイント
対象フランジ径加工したいフランジの外径・内径が、機種の対応レンジに収まるか
クランプ方式フランジの外周を掴む外径クランプ式か、内側を掴む内径クランプ式か
駆動源エアー・油圧のうち、現場で確保できる動力はどれか
加工内容面加工だけでよいか、中ぐり・開先・座ぐりなど複合加工が必要か

クランプ方式は取付けスペースで選ぶ

外径クランプ式は、フランジの外周に十分なスペースがある場合に使えます。内径クランプ式は、外周にアクセスできない狭い設置環境や、隣接するフランジとの間隔が狭い場合に有効です。フランジがコンパクトな場合は、重機を使わずに段取りできる機種もあります。

加工内容は面加工だけか複合加工か

面加工専用の機種のほか、中ぐり加工・開先加工・座ぐり加工・端面加工まで1台でこなせる機種もあります。フランジ面の補修に加えて配管内径の修正も必要な場合は、複合加工が可能な機種が候補になります。

フランジフェイサーが使われる業界

フランジ面の現地加工は、配管を止めにくい業界で幅広く使われています。

  • 発電・プラント:ガスタービンの補修、タービンケーシングのフランジ加工、バルブフランジの補修
  • 石油・ガス・化学:プラント配管のフランジ補修。輸送が難しい大径配管が中心
  • 造船・重工業:船舶配管や大型構造物のフランジ接続部の補修
  • 公共インフラ:水門・港湾クレーンなど、摺動部・接続部の定期補修

対応製品の例|クライマックス社FF OD/FF IDシリーズ

上記の判断基準をふまえた具体的な機種の例として、愛知産業が取り扱うクライマックス社のフランジフェイサーを紹介します。自社のフランジ条件と比較する材料としてご覧ください。

外径クランプ式(FF ODシリーズ)は、オイル・ガスや化学プラントの工事現場で、内径クランプ式と比べ30%の工程短縮とオペレータの安全確保を実現しているとして、業界のグローバルスタンダードと位置づけられています。標準ラインアップのFF1000〜FF3600は対応フランジ加工径が最大Φ927.1mmで、駆動源はエアーです。より大径のFF6300・FF8200・CM6200はエアー・油圧または油圧駆動で、対応フランジ加工径は最大Φ4,800.6mm(CM6200)まで対応します。

内径クランプ式(FF IDシリーズ)は、配管フランジのΦ25〜3,050mmまでのクランプ径に対応します。面加工・中ぐり加工のどちらか、または両方が可能な機種、面加工・中ぐり加工・開先加工・座ぐり加工・端面加工のすべてが可能な機種まで揃っています。FF5000以上の機種は、マウントやチャックを使って面加工する本体側に固定することもできます。

型式方式対応フランジ加工径駆動源
FF1000〜FF3600外径クランプ式最大Φ927.1mmエアー
FF6300/FF8200外径クランプ式Φ215.9〜3,464.6mmエアー・油圧
CM6200(外径)外径クランプ式Φ1,765.3〜5,331.5mm油圧
FF3000〜FF5300内径クランプ式最大Φ1,016mmエアー
FF6300〜FF8200内径クランプ式Φ299.7〜3,048mmエアー・油圧
CM6200(内径)内径クランプ式Φ1,765.3〜4,800.6mm油圧

なお、FF6300・FF8200・CM6200は外径クランプ・内径クランプの両モデルがラインアップされており、現場の取付け条件に応じて選べます。中ぐり加工との組み合わせは現地中ぐり加工とは?でも解説しています。

製品ごとの詳しい仕様はFF ODシリーズFF IDシリーズの製品ページで確認できます。

よくある質問

フランジを交換せずに漏れは直せますか?

腐食や傷が面の表層にとどまっている場合は、フランジフェイサーで面を薄く削り直すことで密着性を回復できます。腐食がフランジの強度に影響するほど進んでいる場合は、交換が必要になることもあるため、削り代の範囲内で対応できるか事前に確認してください。

外径クランプ式と内径クランプ式、どちらも使えない場合はありますか?

フランジの外周に取付けスペースがなく、内径も小さすぎてクランプ機構が入らない場合は、どちらの方式も使えないことがあります。事前にフランジ周囲のスペースと内径寸法の両方を確認してください。

面加工と中ぐり加工を同時に行える機種はありますか?

FF IDシリーズには、面加工・中ぐり加工・開先加工・座ぐり加工・端面加工まで1台でこなせる機種があります。必要な加工内容を整理したうえで機種を選ぶと、段取り替えの回数を減らせます。

大径のフランジにも対応できますか?

CM6200のように、外径クランプでΦ5,331.5mm、内径クランプでΦ4,800.6mmまで対応する機種があります。大径になるほど機種選定の余地が狭まるため、早い段階でメーカーに相談することをおすすめします。

まとめ

フランジフェイサーは、配管を分解せずに現地でフランジ面を削り直すための機械です。対象フランジ径・クランプ方式・駆動源・加工内容の4点を組み合わせて機種を絞り込むのが選定の基本です。フランジ面の腐食・漏れの補修や、プラントの定期修繕でダウンタイムを短縮したい場面で、現地加工が実質的な選択肢になります。

愛知産業では、クライマックス社製フランジフェイサーの機種選定のご相談から、現地工事の手配までをサポートしています。

クライマックス社 ポータブル加工機
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この記事を書いた人

愛知産業株式会社の編集部です。溶接・接合と金属加工の技術情報を、現場導入の視点で整理してお届けします。カタログのスペック値だけでは見えない選定の判断基準を、実務に役立つ形でご紹介します。

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